"あのさ、ごめんよ、僕の世界はどんどん変わってくみたいだ。
君だけが今の僕を知っている人。ここでお別れをしよう。
僕んとこ若いこの気持ち、なくなっちゃうのが怖いんだ。
君とずっと一緒にいたら、君は少しずつ僕が変化しても、
その変化やなんかが少しずつすぎてきっと気がつきやしないんだろう。
夕方の空が真っ暗な夜に変わっていくみたいに、
君は僕が変わっていってもちっとも不思議には思わない、
そして夜みたいに僕が完全に成長して変わっちゃっても、
元から僕がそんなだという風に、君は変化に気づきやしない。
きっと僕もそうだと思うんだ、同じだろうね、自分の変化に気がつきやしないんだ。
自分の心やなんかが大人びていって、若い頃の心を思い出そうとした時にはもう遅いんだ。
思い出せやしないさ、きっと。
だから君とはここでお別れしよう。僕はこの、今のこの僕を失うのが怖いんだ。
純水な気持ちを失いたくないだなんて、考え始めてしまっているのはもう、
大人になってってるってことじゃないのかい、
それだったらこのまま、すべて消えてしまう気がして僕は、しようがないのさ。
君は知りすぎているくらいに僕を知っているだろう?
今のこの僕を、僕の孤独や怒りや悲しみや、叫びや嬉しさや希望も全て。
だからグッバイとおさらばさせてくれないか。
そして時が経って、僕らも大人になって、心だけじゃなくて外見もすっかり大人びてしまったら、
また会ってくれないか。
もしも僕が、すっかり内面まで大人びてしまっていたら僕が口を開く前にどうか話してくれないか、
君の知っている僕を、君が覚えている限りの僕を全部。
そしてどうか僕に吹き込んでくれよ、若い心を持った僕、その一部を。
僕は違う感覚を吸収する痛みを知るかもしれないし、
もしかしたら、奥底に沈んだ何かを思い出すやもしれない。
そして、思い出させてくれたなら、僕は涙を流して喜ぶだろう。"

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